コンサルタントなら知っておきたい転職の流れ・選考プロセス
コンサルティングサービス市場は、企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みによる需要増を受け、拡大傾向にあります。それに伴い、コンサル人材に対しても旺盛な需要があり、転職市場も活況を呈してはいますが、人材確保のための採用基準が緩くなっているわけではありません。
ここでは、コンサルタントとして転職するに際して必要な準備や、選考プロセスを通過するためのポイントについて解説します。
1.コンサルタントの転職先の選び方
ここでは、コンサル業界に転職するための方法について、キャリアプランの見直しを始めとして順を追って解説します。また、志望するコンサルティングファームを選ぶ際の基準や観点についても紹介します。
1)自分のキャリアプランを見直す
業界に関わらず、転職においては自身のキャリアプランを見直すことが重要です。
転職面接においては自分自身が仕事を通してどのように成長したいのかを自分の言葉で明確に語る必要があります。
キャリアプランを見直す際には、自分のありたい姿から逆算して考えるとよいでしょう。
具体的には、自分の理想像と現在のギャップを明確にした上で、そのギャップを埋めるために現職で何に取り組んでいるかなどを整理します。
また、キャリアプランは現在の会社を退職する理由や志望動機に対して一貫性のある内容であることが重要です。ネガティブになりがちな退職理由であっても、キャリアプランと照らし合わせて考えれば、「将来的に○○になりたい」、「より○○の経験を積みたい」といった前向きな形に置き換えることができます。
志望動機もキャリアプランから逆算して考えると、転職先の会社で何をしたいかといった、独自性のある志望動機を語ることができるでしょう。
キャリアプランについては正しく深掘りすればするほど、面接時に自分の言葉で話せることが多くなります。キャリアプランの見直しは転職活動の基礎に当たる部分なので、時間をかけて丁寧に行いましょう。
2)コンサル業界について知る
どの業界への転職であっても、転職先の業界について深く知ることが重要です。
特に、未経験の業界であれば自身への適性を考える意味でも、業界研究は不可欠といえるでしょう。
コンサル業界への転職を考える際には、まずコンサル業界がどのような構造になっているかを知ることが必要です。
コンサル業界は主に戦略系、会計系、HR系、IT系、シンクタンク系の5つに分かれます。同じコンサル業界であってもどの分類に入るかで、仕事内容と求められるスキルが大きく変わってくるのです。
例えば、戦略系であれば企業の経営戦略に関わることから、コンサルタント一人当たりの単価が高く、高い論理的思考力とプレゼンテーション能力が求められます。
一方で、会計系のコンサルティング会社であれば簿記や会計に関する高いスキルが求められ、公認会計士資格を持っていることが応募要件であるケースもあるでしょう。
また、近年は働き方改革の影響で見直されつつあるものの、コンサル業界では人のスキルに報酬が支払われるため、クライアントへの提案やコンペの際には長時間労働が避けられないこともあります。自身の望む働き方と照らし合わせた上で、コンサル業界への転職を考えるようにしましょう。
3)コンサルティングファームを選ぶポイント・基準の明確化&比較
実際にコンサル業界への転職を考えるにあたり、どのような基準で志望する企業を選べばよいのでしょうか。
まず、企業選択にあたって第一に考えるべきなのは、自分自身が重視するポイントや基準を明確にすることです。
特にコンサル業界では企業によって得意とする領域、事業内容、メインとなるクライアントは様々です。
例えば現職がSEの場合、IT系のコンサルティングファームを選ぶと入社後の業務で活かせるスキルを明確に伝えられ、志望動機や自己PRに一貫性が出て説得力が増すでしょう。
各企業のプレスリリースやレポートから、その企業が手掛けたプロジェクト事例などを確認し、入社後に自身のキャリアプランに合った仕事ができるのかを見極めましょう。
また、一般的にも年収が高いとされるコンサル業界においても企業によって年収は大きく異なります。 特に、外資系の戦略分野ではコンサルタントの単価が大きくなる分、年収が高くなる傾向が顕著です。 年収以外にも中途採用者への教育制度、福利厚生など業務内容以外にも考慮すべき項目があります。
例えば、現職の経験が大いに活かせると考えるのであれば即戦力を求める企業を志望するとよいでしょう。 逆に未経験の分野に挑戦するのであれば、教育制度が充実している企業に応募する、アナリストクラスの求人に応募する等の工夫が必要です。
2.コンサル転職エージェント経由応募or直接応募の決定
コンサルティングファームへの応募には採用サイトや問合せフォームを通して直接応募するケースと、転職サイトや転職エージェントが保有する求人案件に応募する方法があります。ここでは、両者のメリットとデメリットを紹介しましょう。
1)ファームへの直接応募のメリット・デメリット
メリット
コンサルティングファームへは採用サイトなどを通して直接応募することが可能です。
直接応募のメリットとしては、入社後の待遇や年収の交渉などを自分で進められることがあげられます。
また、通常は転職サイトや転職エージェント経由での応募が多数を占めるため、直接応募によって志望度の高さを示すこともできるでしょう。
デメリット
一方で、転職エージェントを利用した場合に比べると、直接応募の場合は面接日の調整や書類のやり取り、待遇に関する交渉などを全て自分で行う必要があり、想定以上の手間が発生するでしょう。
特に現職で働きながら転職活動をする場合は、今取り組んでいる仕事にも悪影響が出る可能性があります。
また、WEBサイトやニュースなどの外部に向けられた情報でしか応募する企業について知ることができないため、企業研究の面でも他の志願者に比べて不利になる可能性があります。
既に転職サイトや転職エージェントに求人がある場合、特別な理由がない限りは、転職サービスを活用する方が直接応募よりもスムーズに転職活動を進められる可能性が高いです。
2)転職エージェント経由応募のメリット・デメリット
メリット
転職エージェントは企業の依頼を受けて求職者とのマッチングを行い、採用につなげるサービスです。
求職者にとって最大のメリットは、無料で利用できることです。
転職エージェントは企業が希望する人材を採用できた際に、求職者の理論年収の一部を成功報酬として受け取ります。そのため、求職者側の負担はゼロで転職活動を進められるのです。
また、転職エージェントが企業と求職者の間に立って面接日時の調整や年収の交渉を行ってくれることもメリットになります。
特に年収に関する交渉は応募者からは切り出しにくいものです。転職エージェントが応募者と企業の意向をすり合わせ、調整してくれることにより双方が納得の上で年収について合意することができます。もし、現在の年収や自分自身の市場価値に対して企業側から提示された年収が低い場合は、転職エージェントに年収交渉に向けた相談をするとよいでしょう。
さらに、転職エージェントを利用した場合、担当者から面接官に関する情報をもらえることがあります。事前に面接官の役職や質問の傾向などを教えてもらうことができれば、面接対策を進めやすくなりますのでこの点も大きなメリットです。
これ以外にも、職務経歴書の添削、模擬面接といったサポートも受けることができます。
デメリット
一方で、転職エージェントを利用することのデメリットもあります。
先述の通り、転職エージェントは企業からの成功報酬制であることから、一部の担当者は求職者に応募を急かす、求職者の志向に合わない求人をおすすめするなど、求職者のニーズを無視した行動に走るケースがあるため注意が必要です。
転職エージェントを利用するときは、担当者がご自身のニーズをくみ取り、志向に合った求人をおすすめしてくれるか確認しながら活用しましょう。
3)転職エージェント選定のポイント
コンサルの転職を支援するエージェントはたくさんいますが、どのエージェントを転職活動のメインのパートナーとして選ぶかは重要です。中には最低限のスケジューリングや単に案件を紹介するだけというエージェントもおり、エージェントの質もばらばらです。
コンサル転職のエージェントを選ぶ際は、面談などで下記4点を確認しましょう。
- 1.コンサルティングファームの業界事情や選考プロセスに熟知している
- 2.求人票には現れないような求人側企業の内情や、募集ポジションの本当の趣旨や求める要件(例 求人票では尚可となっているが事実上必須要件であることなど)を把握している
- 3.キャリアプランについて一緒に考えてくれる
- 4.職務経歴書の添削、志望動機のブラッシュアップなどの支援が受けられる
また、コンサルは内定後の回答期限が7日程度と短い例も多く、複数の内定を比べて検討したい場合は、内定時期から逆算した複雑なスケジューリングが求められるので、スケジューリング能力の高さもエージェント選びにおいては重要です。
ハイパフォキャリアでは、コンサルティング業界に精通したコーディネーターによる書類選考を突破するための徹底した添削や、最難関のケース面接について各社の特徴を踏まえた徹底対策を行います。 コンサルティングファームへの転職を希望されている方は是非ハイパフォキャリアのコンサルタントへご相談ください。
3.コンサルファームの選考プロセスを把握する
コンサルの選考から入社までは、大きく分けると次の6段階のフェーズを経て進んでいきます。
- 1)書類選考
- 2)適性試験・Webテスト
- 3)面接
- 4)内定
- 5)オファー受諾・退職活動
- 6)入社日
※転職活動開始から内定が出るまでは2か月、入社までは3、4か月というのがコンサルの平均的な転職活動期間です。
1)書類選考
コンサルティングファームへの転職活動の場合、書類選考期間はおよそ1~2週間程度です。書類選考では、過去の経験やスキル、学歴などの定型的な情報はもちろん、文章の構成力やロジック展開力、ドキュメント作成能力、注意力についてまでチェックを受けます。
積極的に加点を狙っていくというより、伝えるべき事項を明瞭に伝え、減点を避けることがまず重要です。
経験やスキル、学歴はもちろんですが、コンサルに必須の論理構築力や、ドキュメント作成能力も見られます。誤字脱字もしっかりチェックされますので気を付けましょう。
2)適性試験・Webテスト
書類選考を通過すると、大多数のファームは面接に進みますが、戦略系ファームの中にはここで適性試験を受けることになります。適性試験やWebテストには、リクルート主催のSPI、日本SHL社の玉手箱・CAB・GAB、ヒューマネージ社のTG-WEBなど、さまざまなものがあります。これらは知識や思考力、処理能力、内面的な性格等を確認するために実施します。
受験の形態には、1)テストセンターでweb受験 2)自宅PC受験 3)企業オフィスにてペーパー受験と、3種類のパターンがあります。適性試験・Webテストは、受験後7日間程度で合否通知が来ることが多いです。
計算能力、思考能力、事象を構造化して捉える分析力や、仮説思考力の有無がチェックされますので、普段から訓練し、事前に練習しておく必要があります。
3)面接
コンサルティングファームにもよりますが、2回~3回程度面接を行うケースが多いです。オフィスでの対面面接だけでなく、最近はWeb面談も多くなってきました。
論理性や思考能力、コミュニケーション能力、協調性、プロフェッショナルとしてのマインド面などがチェックされますので、こちらも適性検査同様事前に練習しておくことが重要です。
4)内定
すべての面接を通過した後、コンサルティングファームから内定を受けます。内定通知の後に具体的な条件についてオファーがあります。オファーを提示されてから7日間程度の回答期限を設けられていることが多いです。
したがって、複数の選考を同時並行で進め、複数の内定から選びたい場合は、予想内定時期が最長でも誤差1週間以内に収まるよう、逆算して選考のスケジューリングを行う必要があります。
5)オファー受諾~退職活動
オファーを承諾するということは、現段階で所属している企業に対し、退職する旨を伝えなければなりません。通常、企業は人員確保や引き継ぎ事項など諸手続きがあるため、1〜2ヶ月前に退職を申し出なければならないと就業規則などに記載されています。自分の所属する企業がどのように就労規則を記載しているか確認しておいてください。
コンサルティングファームへオファー承諾をすると同時に、退職活動を進めていきます。現在所属している企業の直属の上司へ退職したい旨を報告すると、面談等が設定されます。後日、直属の上司の上司や人事部の面談がセッティングされ、そこで退職する月日が決まります。
その後、同僚への引き継ぎ等や、人事部における事務手続きを行い、雇用関係の終了と、次のコンサルティングファームへの入社に向けて準備をします。コンサルティングファームと具体的な入社日を決める際は、前述した通り、すぐに現勤務先を退職できるわけではない点に留意しつつ、転職先においても、基本的に早期に参画することが望まれている点にはご注意ください。
現勤務先においてはしっかり段階を踏んで報告することで、退職する意思が堅いことを主張し、円満退職をして、新たな転職先へと向かいましょう。
6)入社日まで
入社日ギリギリまで前職の企業で働かなければならない方もいれば、有給休暇が残っていたため消化する方もいます。入社日までの空いた時間は、転職先に参画する前の準備期間として捉えましょう。リフレッシュして気持ちの面で切り替えを行ない、入社手続きに必要な書類を揃えたり、転職先における業務について自分でリサーチを進めてもよいでしょう。
環境の変化により、転職後しばらくは心身ともに疲労が重なりがちであることも想定し、新天地でスムーズに業務に入っていくために、健康管理をしっかり行っておくことも重要です。
4.まとめ
コンサル転職を成功に導くために大事なのは、エージェント選びやスケジュール管理、そして事前の周到な準備です。転職活動の準備段階から入社日まで、数ヶ月単位の長い期間が費やされます。
転職成功に向けてエージェントと作戦を立て、スケジュール管理を綿密に行い、選考プロセスを一歩一歩確実にクリアしていきましょう。
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