「三菱総合研究所」のproject事例
自動運転技術の社会実装支援
・きっかけとなった課題
いま自動車業界は、100年に一度の大変革時期にあります。そのキーワードは、CASE(C:通信・接続、A:自動運転、S:シェアリング、E:電動化)と呼ばれています。とりわけ自動運転は、渋滞の解消や交通事故の予防などの社会課題を根本的に解決する切り札として実現が望まれています。
・生み出した価値
当社は、日本において渋滞や事故のない自動運転社会を世界に先駆けて実現すべく、官民共創の仕組みを活用し事業を推進しています。官の側では自動運転を後押しする政策・施策の立案や官民共同研究開発の推進を支援し、また、民の側では自動運転技術をいち早く商品化すべく開発支援を行い、ビジョンから実行まで一貫した支援スキームを実現しています。
AIスタッフ総合案内サービス
・きっかけとなった課題
ある地方自治体の健康支援課を対象に行われた業務調査では、電話と窓口での問い合わせ対応業務が、1日の業務量の約半分を占めていることが判明しました。地方自治体では、限られた予算・職員の下、このような問い合わせ対応を含め、住民サービスをいかに維持していくかが課題となっています。
・生み出した価値
当社は、住民からの問い合わせ対応のデジタル化に着目しました。行政機関でのAI活用を考えるため、当社のプラチナ社会研究会の中に「行政情報標準化・AI活用研究会」を立ち上げ、会員の中から35自治体の協力を得て、「AIスタッフ総合案内サービス」の実証実験を行った後、2018年10月には本格サービスを開始しました。「AIスタッフ総合案内サービス」は、AIとの対話 (チャット)により、子育て支援やごみ出しルール、税金など、住民が知りたい情報を提供するサービスです。多言語化や対象分野の拡大を図り、今後も地方自治体における住民サービスの向上と職員の生産性向上に貢献していきます。
アプリケーション資産可視化サービス
・きっかけとなった課題
現在、システム開発作業の大半は「保守開発」であり、影響調査に多くの時間・工数を費やしています。度重なる変更・追加でシステム構造が複雑化しているため、アプリケーション資産の正確な把握、開発保守作業の生産性・品質改善を図り、特定の個人依存からの脱却、システム構造や構築ノウハウの共有が課題となっています。
・生み出した価値
当社は、主に民間企業、金融機関のお客様を対象に、リバースエンジニアリング技術を使用したアプリケーション資産の可視化サービスを提供しています。アプリケーション資産を可視化することで、システム運用・保守における「生産性向上」「品質向上」「属人化からの脱却」を可能にし、ITコストの低減および良質なシステム構造の構築に貢献しています。
電力・ガスシステム改革を先取りしたトータル・コンサルティング
・きっかけとなった課題
分散電源のコスト低減と、環境意識の高まりが、世界的な潮流となっています。
エネルギー業界では、電力・ガスシステム改革の進展によって競争環境が変化する中、市場取引の活用や総合エネルギー事業への取り組み、新電力の新規参入/再編といった動きがダイナミックに生じています。
加えて、再生可能エネルギーのコストダウンや蓄電池の技術進展により、従来の大規模電源中心から分散電源の活用、さらには再生可能エネルギーの主力電源化へと大きなパラダイムシフトを迎えつつあります。同時に、産業界共通のトレンドであるデジタル化も進展しており、既存の考え方にとらわれない対応が求められています。
・生み出した価値
当社では、競争対応・市場取引活用・分散化・デジタル化などの課題への対応を支援する調査・コンサルティングサービスを提供しています。
再生可能エネルギー・蓄電池などの分散電源の大量導入が見込まれる中、欧米電気事業制度を参考にした国内制度設計支援業務から、エネルギー事業者間の再編・M&A支援、当社が独自開発したシミュレーションモデルを活用する個別発電プロジェクトの事業性評価支援といったコンサルティング業務、さらには分散電源や配電ネットワークに関する新規事業検討まで幅広く実施し、社会変化への対応および課題解決を支援しています。
食品業界におけるサプライチェーン・イノベーションへの取り組み
・きっかけとなった課題
当社は、飼料、種畜、飼養、食肉、加工という食品業界における各領域のメーカーとIoT活用の検討を進めてきました。検討の中で、各社とも製造プロセス効率化、トレーサビリティ強化への効果が確認されましたが、他方、食品業界は中堅・中小規模の企業が多く、単独でサプライチェーン強化までを狙った投資判断が困難といった構造的課題が存在しています。
当社は、「飼料~畜産~食肉~加工~小売」を横断する「畜産インテグレーション」を志向する「流通業」に着眼し、流通業を中核とした、サプライチェーン・イノベーション検討スキームを策定し、企業の枠を超えたIoT活用を検討しています。
・生み出した価値
流通業に対しては、プラットフォーム戦略の実装機会を創出し、製造業に対しては、個社別の生産性向上(プロセス・イノベーション)から、企業横断的な最適化への貢献(サプライチェーン・イノベーション)に検討を発展させました。これによりIoTを積極的に活用し、価値創造(在庫・欠品の抑制、多品種少量生産、食の安心・安全の強化など)の可能性を広げることができました。
通常のコンサルティングやソリューション導入では、各社の「競争領域」支援が中心となりますが、当社では産学官連携を強みとするシンクタンクならではの特長を活かし、「協調領域(複数企業での取り組みによる付加価値向上)」の支援にも挑戦しています。