コンサルタントの仕事内容
ここでは、コンサルティングファームの業務内容、その中でのコンサルタントの仕事内容をご紹介します。
コンサルタントの仕事の全体像
一般にコンサルティングファームは、クライアントの企業、官公庁などの課題を抽出・整理し、課題に対して解決策を提示すること、また、さらに実行フェーズを担います。前提となる、精緻な調査分析も一つの重要な役割です。
また、「コンサルティング」は、形式的には「相談」という定義がありますが、経営層や部課長の事業戦略やプロジェクトに関する相談役としても重要な役割を担う場面も多くあります。
そして、一口にコンサルタントといっても、戦略コンサルティング、業務改革コンサルティング、ITコンサルティング、組織人事コンサルティングなどのコンサルティング領域によってコンサルティング内容は異なり、コンサルタントはアサインされたプロジェクト、役割に応じてそれぞれの業務を推進していくことが求められます。
各プロジェクトを推進する際に、プロジェクトマネジメントの役割を担う場面も多く、高いスキルが必要となります。以下に各コンサルティングの業務内容をいくつかご紹介します。
戦略コンサルティング
戦略系コンサルティングとは、企業が直面する経営上の課題を解決するための経営戦略立案やアドバイスをし、実行のための全体像を描く支援を行います。
例えば、製造業における企業で、日本だけではなくクロスボーダーで海外市場まで展開する戦略がある場合は、どのような商品を海外展開すべきか、またどの国でどのような展開すべきかなど、綿密な市場調査に基づき、そのファーム内で蓄積された世界拠点のグローバルナレッジを活用して、具体的なブループリントや戦略的なスキームなどを検討し、クライアント企業に提案します。
従来は、経営戦略立案までを行い、クライアント企業に承認された時点でプロジェクトのミッションが完了することが多くありましたが、近年はどのように実行するか、実行した時の課題は何か、など経営戦略立案後の実行フェーズの役割まで担うようになってきています。
戦略系コンサルティングにおける仕事は、プロジェクトによって異なりますが、2~5人程度の少人数でプロジェクトに取り組むことが多いです。プロジェクト期間は3か月~6ヶ月前後で行われるプロジェクトが多くありますが、世界的な事業展開戦略の立案などの場合、1年以上長期間取り組むプロジェクトもあります。逆に、2週間~1ヶ月程度の期間が短いプロジェクトもあり、クライアントから依頼された内容によります。
総合コンサルティング
総合系コンサルティングとは、クライアント企業の特定の一領域だけではなく、戦略、IT、組織人事、財務など幅広い領域を総合的なサポートし、また、戦略からIT、実行フェーズまで垂直的な全体支援などを行うことです。
会計事務所を起源とする財務会計系コンサルティングファームや、システム開発を基軸とするIT系コンサルティングファームなども、近時その規模と領域を広げてきており、総合コンサルティングサービスを提供するようになってきています。
総合コンサルティングを行うファームが増加してきて、またファームも多様化してきているので、ファームのカテゴライズの線引きが近時難しくなってきています
ITコンサルティング
ITコンサルティングとは、ITシステムによってクライアント企業・官公庁の課題解決をすることです。ITのシステム導入支援、基幹システムなどの開発、そのプロジェクトマネジメントなど主な仕事となります。近時、AIやRPAの技術を導入する企業が増えてきており、ITコンサルティングのニーズが非常に高まってきています。SAPなどERP/基幹システムのパッケージ、SalesforceなどのSFAの導入支援なども企業のニーズにより行います。
ただ、ITはそもそも事業課題を解決するためのツールであるので、その上流にある戦略や事業設計が重要となるため、戦略コンサルティング、業務改革コンサルティング、組織人事や会計の全体構想コンサルティングなどが必要になる場面も多くあります。
ITシステムの設計、開発自体を担っているファームも多くあり、ITシステムを構築するためのエンジニアを大量に直接採用している企業も多いです。課題開発の提案、ITシステム開発と導入だけではなく、プロジェクト管理やシステム運用も手がけます。
プロジェクトの期間は、システム開発の場合、1年以上かかることも多いです。ITの導入設計、開発・導入、その後の運用まで担うと長期間取り組むプロジェクトが多いと言えます。
プロジェクト単位で仕事を行うコンサルタント
コンサルタントは、プロジェクト単位でチーム仕事を行うのが一般的です。プロジェクト期間は、戦略コンサルティングでは3か月~数か月間、グローバルなプロジェクトや大規模なシステム開発であれば数年に及ぶプロジェクトもあります。
プロジェクトでは、成果とそれに伴うスコープ(業務対象となる範囲)が設定され、アサイン(選定・割り当て)されたコンサルタントチームにおいてその範囲の業務を進めていきます。チームは数名単位から、1,000名規模のプロジェクトまであり、クライアントから依頼されるプロジェクトによります。
そして、コンサルタントには、大きく分けて4つの職位があり、それはアナリスト、コンサルタント、マネジャー(マネージャー)、パートナーです。プロジェクト現場の責任者であるマネジャーは、優秀なメンバーを揃えることがプロジェクトの成功・不成功を左右するため、優秀なコンサルタントやアナリストを常にファーム内で探しています。いわば社内ヘッドハンティングです。
コンサルタントやアナリストからすると、どのようなプロジェクトにアサインされるかによって、経験できる業界や身につけることができるスキルも影響を受けます。また、1つ1つのプロジェクトの評価が自身への評価となるため、どのようなプロジェクトにアサインされるかは、コンサルタントの今後のキャリアにとって重要な意味をもちます。
コンサルタントの仕事環境:常駐が多く社内オフィスを使わない
コンサルティングファームの仕事は、クライアントへ常駐する場面が多いため、特定のオフィス内の机と椅子でデスクワークをすることは非常に稀です。地方にあるクライアントに出張して常駐することもあり、グローバルなプロジェクトでは海外に数か月滞在することもあります。
プロジェクトごとに環境が変わるため、環境変化に素早く適応することもコンサルタントに必要な要素と言えます。