EYストラテジー・アンド・コンサルティング #03
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
所属:テクノロジーコンサルティング データサイエンス
役職:シニアコンサルタント
お名前:濵田朋宏(はまだ ともひろ)様、辻本隆宏(つじもと たかひろ)様
1. EYストラテジー・アンド・コンサルティングの魅力
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所属されている部門の業務内容について教えてください。
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【辻本】私が所属するデータサイエンスは、データを基にした科学的アプローチによる問題解決や、意思決定の高度化のためのデータ活用支援を行っています。私の主な業務はデータ分析で、例えば現在関わっている医療関連のプロジェクトでは、データ分析によって疾患の予測を実現できないかというご相談をいただいています。そのお客様は今までデータ分析を活用した経験が少なく、どう使えばいいのかわからないという悩みもお持ちなので、「そもそもどんな情報を分析で知りたいのか、そして分析した結果をどう使うか」という観点も含めた支援をさせていただいています。
【濵田】私も辻本さんと同様にデータ分析を主に担当していますが、現在はメーカー向けにR&D(研究開発)支援からデータの活用戦略の構想策定までデータに関係する幅広い支援を担当しています。現在担当しているプロジェクトでは、エネルギー機器の劣化の状態を分析し故障予測ができるシステムを、アルゴリズムも含めて一緒に研究開発しましょうという形でお手伝いをしています。また、開発したアルゴリズムの活用を見据えて、サービス型のビジネスモデル構築へ向けたデータ活用構想策定支援も行っています。 -
同業他社と比べて、御社及び事業部門の特長や強みについて教えてください。
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【辻本】データサイエンスは、専門性を極めて重視したチームと言えます。現在、メンバーの7割強が博士課程進学者で、統計学、機械学習、計算機科学、経営工学、計量経済学など、データに基づいた意志決定を扱う領域の研究経験者で構成されています。そのため、理論に基づいた高度な分析から実際の業務への示唆・提言を可能としています。 同業他社と大きく異なるのは、ただシステムを導入するのではなく、「データと直接向き合って、どのような分析で課題解決に貢献できるのか」というところに注力している点です。「このパッケージを御社に導入すると、このように良くなりますよ」とソリューションを提案する方法が一般的ですが、それだけでは対応できない課題も多いのが実情です。私たちのチームでは「課題の本質は〇〇ですね。データからこのようなことが分析できますので、課題解決のこの工程に貢献できるのではないでしょうか」と、課題軸で提案できるのが強み。そもそもの視点が違うところが特長だと思います。
【濵田】データを使いたいと考えている企業はたくさんあるのですが、それをビジネス上でうまく活用できていないのが実情だと思います。なぜかというと、「データを使うこと」が先に来てしまい、「ビジネス課題の解決」という視点がブレてしまうからだと考えています。ビジネスの課題があってそれを解決するために何か手を打ちたい、そこで初めてデータを使えるのか、それとも使えないのかを考えるべきであって、課題と向き合わずにデータ活用システムを入れてしまうのは本末転倒ですよね。課題解決を見据えて本当にデータを使うことが有効かも検討した上で、どのように・どの程度までデータを使うべきなのかというところに専門的に迫っていくのが私たちのチームの面白いところです。
また、EYはコラボレーションの文化が強いので、業界ごとのプロフェッショナルチームと協働することで、幅広い業界に対してデータサイエンスと業界知識を掛け合わせた貢献ができます。例えば、再生可能エネルギーについてのヨーロッパでの知見を日本で活かせないかと、海外拠点での知見を共有してもらい、新たな取り組みについて議論することもあります。様々な業界・地域に関する知見を共有してもらえることは、私たち自身の学びにもなりますし、ひいてはお客様への貢献につながっていきます。
2. テクノロジーコンサルティングの魅力
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入社された経緯と、志望された動機や理由について教えてください。
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【濵田】学生時代からパブリックな仕事をしたいと思っていて政府系金融機関に就職したのですが、自ら様々なデータを解析して、得られた知見を人に伝えられる仕事のほうが面白そうだと思い、金融系データ分析企業に転職しました。副業で様々なベンチャー企業とも関わるうちに、データ活用を試みる企業は多くあれどデータ活用がビジネス課題の解決に結びついているケースが少ないことに気づき、なぜそうなってしまうのか自分で考え、実際に課題解決に結びつくデータ活用を推進していく経験が欲しいと思うようになったんです。データ活用がうまくいかない場合にどうすればうまくいくのか、EYのようなコンサルティング会社では多くの知見が得られるのではないかと期待していました。また、副業でベンチャーの経験はありましたが、今回の転職では基盤のしっかりした組織で多様な分野のデータ分析に取り組める環境を探そうと考えており、そこで出会ったのがEYでした。情報を活用して社会に干渉していくというのが、自分の力を発揮できる場所かもしれないと思いましたし、「Building a better working world~より良い社会の構築を目指して~」というEYのパーパス(存在意義)もパブリックな仕事をしたいという自分の感覚に響きました。
【辻本】私はもともと貧困問題を解決したいという思いがあったので、開発経済学という領域で研究してきました。博士号も取得し研究職に就いていたのですが、社会に飛び込んで現場の方たちと一緒に貧困問題の解決に貢献したいと思ったのが転職のきっかけでした。コンサルティングファームにした理由は、ビジネスをより深く、上流で考えることができそうという点、幅広い業界で貢献できそうだという点で決めました。その中でも、データ分析やアカデミックな観点をビジネスに結びつけることができる場所が、EYでした。何しろ、面接で一番専門的な話に展開したのがEYでして、面接官とは研究室みたいな雰囲気で会話ができました。他社の面接では感じられなかったことなので、その点でも一番印象がよかったのはEYですね。 -
働くなかで、どのようなところに喜びや魅力を感じられていますか?
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【辻本】このチームは学びの機会が多く、研究と同じようにアカデミックな議論ができる環境も刺激的です。また、データ分析がビジネスにおいてどのような価値があるのかを常に考えながら分析するよう指導されることも、自分にとっては大きな魅力ですね。データ分析の手法はどんどん新しくなるので勉強を続けないといけないですが、勉強すればするほどビジネスで活用できそうな機会も増え、自分にフィードバックが返ってくるのも面白いです。
やりがいを感じるのは、お客様にこちらの意図が上手く伝わったときでしょうか。分析した内容をなかなか理解していただけないときに、基礎統計について一から説明させていただいたんです。すると「だからこういうふうにモデルを組んでいるんだ」とわかっていただけて、本当にうれしかったですね。
【濵田】プロジェクトを通して、様々な分析手法を活用するチャンスに恵まれているところが私にとっての魅力ですね。チームメンバーの統計知識が豊富で、流行りの機械学習手法だけでなく基礎的な統計手法を緻密に使うことを大事にしている人が多い印象なので、一緒に働くなかで地に足がついた分析スキルが得られることを実感しています。 やりがいについては、プロジェクトがうまく回り出したときに感じますね。例えば、最初はメーカーのR&Dの方に「ぽっと出のデータサイエンティストが来て何ができるんだ」と思われることもありますが、その業界の知識を仕入れて、最新の研究論文も参照しつつアプローチしていくと、徐々にお客様が認めてくださってビジネスの課題も進んでいきます。アカデミックな手法がビジネスに対して一つの力になる確証が得られたことが面白いですし、今ではプロジェクトごとにその手応えを感じています。 -
実際の現場では、どのような方が活躍されていると実感されていますか?
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【辻本】データ分析ができても、お客様にその価値が伝わらないと意味がありません。そのため、お客様の問題意識と紐づけて課題を整理し、その中からデータ分析で解決できることを明瞭に提示できる人が活躍していると感じています。例えば、分析した情報を価値あるものにどう変換しようかと悩んでいると、私たちのマネージャーは「こういうふうに使えばいいんじゃないですか」と、アイデアがいくつも出てくるんですね。これまでの経験と知識があってのことだと思いますが見習いたいですし、すごく尊敬できるところです。
【濵田】コンサルタントとして顧客の課題を発見・分析して、最適な解決策を考えられる人ですね。辻本さんの言うとおり、データ分析のパフォーマンスがいかに高くても、お客様自身が納得して先に進められるようにその内容を伝えられないというのはボトルネックになりかねません。お客様のデータへの理解やデータ活用能力を高められるようないい資料を作って、お客様と一緒に成長していけるようなサイクルを組める人が、課題解決の支援という目的をうまく達成できるのだと思います。ですから、アナリティカルかつロジカルな説明を分かりやすくコミュニケーションできる能力が高い人のほうが、顧客のより根深い課題を発掘できて、面白い分析機会を開拓できそうだと感じます。一方で、コンサルタントである以上、あくまでもお客様の課題解決が目的であって、自分の使いたい方法・得意な方法以外は興味ないという人には厳しい環境かもしれないと思いますね。 -
今後、ご自身は御社でどのようなチャレンジをしていきたいですか?
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【濵田】ビジネスの課題解決とデータ分析を結びつけていくにあたって、両方のスキルが同じように高くないといけないのですが、自分はまだ両方とも中途半端だと思っています。技術的・数理的・ビジネス的なスキルをバランスよく高めつつ、得意な分野や業界において独自のバリューを発揮できるように研鑽を続けていきたいですね。また、せっかくコンサルティング会社にいるので、ビジネスコンサルティングのプロフェッショナルからも知識を吸収して、ビジネスコンサルティングとしても、データ分析の専門家としてもより高いレベルの支援を提供できるように成長することが目標のひとつです。
【辻本】今もチャレンジしていることですが、自らの分析技術・ビジネス観点を磨きながら、データ分析による成果の価値や機微、面白さをお客様に上手に伝えられるよう努力していきたいですね。また、ビジネスのリテラシーを高めることも、この会社で自分を磨きたいことのひとつです。
3. EYストラテジー・アンド・コンサルティングでの働き方
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入社後の教育や研修制度、フォローアップ体制はいかがですか。
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【濵田】シニアコンサルタント向けの基礎的なコンサルティングスキルやマネジメントの研修もありますが、ほかにも様々な講座をオンラインでフレキシブルに受講できます。体系的に講義を受講するとバッジ(スキル認定証)をもらえるシステムが整備されていて、社内の研修等を組み合わせることでMBAを取得できる環境も準備されています。専門的な部分については独自の学習が必要ですが、オンラインで様々なレクチャーを受けられる環境はありがたいですね。
【辻本】グローバルも含めて社内の情報にアクセスするポータルがありますので、アジアで今こういうことをやっているとか、自分で見に行けば情報を得られる環境は整っています。また、海外拠点のデータサイエンスのチームが、オンラインでディスカッションしてくれる機会もありますね。時差があるので参加は任意ですが、サイエンティフィックな話だけでなく、データ基盤の話などシステム系も充実しているので、勉強する機会は数多くあります。 -
コロナ過の対応、リモートワークについて教えてください。
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【辻本】私たちはコロナ禍で入社したので、リモートワークが基本の働き方になっています。オフィス自体、フリーアドレスなので自分の固定席もなく、用事がなければ出社する必要はありません。わからないことがあれば、チャットですぐに聞けるので、リモートワークがしやすい環境は整っています。
【濵田】プロジェクトによりますが、私の場合はお客様とオンラインで打ち合わせするので、ほぼ100%リモートワークです。チームのリーダーも「リモートで十分なものは、リモートで」と言ってくれるので特に問題はないですね。リモートワークで仕事とプライベートのメリハリがなくなったと言う方も多いと思いますが、EYに入ってからは基本的に定時以降の会議が入るようなことも無く、休日も連絡は緊急事態が発生しない限りはこないので、逆にメリハリがついて働きやすくなりました。フレックスなので、日中1時間ぐらい病院に行きたいとか、お子さんのお迎えに行くとか、予定を皆さんにわかるようにしておけば、定時内でも席を外すことができます。入社前にコンサルタントの働き方として思い描いていたイメージとはかなり異なる環境でした。
4.読者の方へメッセージ
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読者の方にへのメッセージをお願いいたします。
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【辻本】私たちのチームでよく言う言葉に、「天文学が望遠鏡に関する学問ではないのと同様に、データサイエンスはITシステムではない」があります。計算機科学の第一人者であるダイクストラ先生の発言をもとにアレンジした言葉なのですが、天文学者がずっと望遠鏡を覗いているからといって望遠鏡の専門家かというと、そうではないですよね。星を見るために望遠鏡を覗いているわけですから。それと同じで、私たちも社会の課題を解決するためにデータ分析をしているプロフェッショナルで、ITシステムはデータ分析のツールであるという意味です。この言葉に共感してもらえる方に来ていただけるとうれしいですね。
【濵田】課題解決という目的があってこそのデータサイエンスで、データ解析システムを導入したからといって、データを活用した課題解決ができるわけではないんですよね。ただのツールですから。私もいくつかの企業で面接を受けましたが、「機械学習できますか」と聞かれるところが多かった気がします。でもEYでは「機械学習はあくまで一つのツールであって、データを使って何をどうしたいのか?」といった内容を問われました。このようなマインドを持っている方に、ぜひ来ていただきたいですね。
【辻本】私たちのチームは研究室のような雰囲気で、論文について語ったり、ときには議論し合ったりすることもあります。日常の会話の中でも学べることが多いので、専門性を高め合いたい方は私たちのチームにフィットすると思います。また、自分の専門性だけに固執せず、社会に貢献したいというマインドを持ち、そのモチベーションが高い方と一緒にお仕事ができたらと思います。