ポストコンサルの転職
1.ポストコンサル転職とは
コンサルタント出身者の転職事情についてご紹介したいと思います。 コンサルティング業界は、人の出入りが多い業界と言えます。コンサルティングファームから別のコンサルティングファームへの移動も多くあります。また、商社やSIerなどの異業種・関連業種からコンサルティング業界に転入されるケースも多くあります。
また、コンサルティングファームに所属するコンサルタントが、コンサルタント以外の業種に転職をすることも多くあります。そして、このコンサル出身者のことをコンサル業界内では「ポストコンサル(コンサルタントのその後)」と呼んでいます。
ポストコンサルは、汎用的な課題解決能力やロジカルシンキング、リーダーシップ、巻き込み力などを持ち合わせており、どのような業種や事業であっても、レベルの高いパフォ―マンスが期待できると評価を受ける傾向にあります。そのため、一般的な方の転職よりも確率的に格段に転職活動は行いやすいと言えます。
ただ、コンサルティングファーム出身者のポストコンサルも、それまで所属していたファームやプロジェクトによって守備範囲はさまざまですので、どの領域に経験があるのか、などによってその後の転職先が異なります。以下において、いくつかの例を見ていきます。
1)コンサルティングファームから事業会社・経営企画への転職
コンサルティングファームに所属していたコンサルタントが、事業会社への転職を希望されることも多くあります。戦略立案に長けている戦略系コンサルファームに所属していたコンサルタントにとっては事業会社の戦略立案・実行企画を策定するのは得意分野です。事業会社への転職では、ファームにおけるプロジェクトのようにクライアントの業務を支援するのではなく、「自分の所属する会社」のバリューアップを自らの力で貢献できるというところに魅力があります。
アナリストやアソシエイトコンサルの方(20代~30代前半)は、新規事業企画・事業開発系などを希望される方も多くおられます。また、企業側からすると、新規事業のメンバーとしてはコンサルタントとして完成された状態で「やや扱いづらい」印象がある人材よりも、高い基礎スキルを持ち合わせながらも、その事業会社に馴染みやすくポテンシャルを感じられる年齢層のアナリストやアソシエイトコンサル出身のポストコンサルを採用することを好む事業会社もあります。
一方、同じくコンサルタントクラスやマネージャークラスの方は、経営企画室、事業戦略室、取締役などへの転職を希望される方が多い傾向です。企業側としても、経験のあるポストコンサルには、より高いポジションに就いていただき、事業全体を統括するようなポジションでの活躍に期待を寄せる企業が多いと思われます。
ポストコンサルの方には、ファームから離れた際にご自身に対する市場価値がどのくらいあるのか測りかねておられる方も多くおられます。また、どの事業会社が自分に合った会社なのか分からないというご相談も多くお受けしています。
2)外資系コンサルティングファームから投資会社、プライベートエクイティファンドへの転職
外資系コンサルティングファームから、ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティ投資を行う会社に転職するケースも多くあります。転職後はデューデリジェンスやポートフォリオマネジメント、市場分析や企業分析などを行います。
事業会社に転職するよりも報酬が高額な傾向にあり、また、既に多くのポストコンサルの方々がPEファンドなどに転職していることも相まって、外資系ファームに所属するコンサルタントの人気の転職先となっています。
3)財務系コンサルティングファームから事業会社CFO/財務責任者へ
財務会計系のコンサルティングファームに所属していたコンサルタントは、事業会社やスタートアップ企業のCFOとして活躍するケースも多くみられます。比較的規模の大きな企業の財務会計のプロジェクトを担当してきたコンサルタントにとっては、事業会社の規模にもよりますが、対応できる領域は多くあるでしょう。
ただし、スタートアップ企業ではキャッシュが潤沢になく、会計上未整備な部分も多くあることが多いため、「CFO」といえど資金調達や現場の会計処理にまで関わることもあり得ます。上流だけでなく現場にも降りていく覚悟をして転職をすることも必要です。
4)IT系コンサルティングファームから、事業会社のCIO、CTO、情報システム部等への転職
ITコンサルタントで様々なプロジェクトを経験された方に根強い人気があるのは、ベンチャーや事業会社のCIOやCTO職への転職です。クライアントの事業をITの力で変えることではなく、自らが所属する会社をITの力で変革し、利益に貢献することに魅力があります。転職後は、IT戦略の立案やシステム開発の指揮、SIerへの発注・マネジメントなどを行います。
また、IT系メガベンチャー/上場系IT事業会社は、ITコンサルティングファームから多くの人材を獲得しています。楽天やDeNA、カカクコムなどは、戦略立案能力、実行力のあるITコンサルタントのスキルを事業展開の推進力として活用するべく採用活動も力を入れています。
5)コンサルティングファームからフリーランスへ
ITコンサルの方は、コンサルファームを退職したのち、フリーランスのコンサルタントととなり案件を紹介してくれるエージェントに登録をする方も多くおられます。現在では、多くのエージェントが登場しており、それぞれの得意分野を活かして、フリーランスのコンサルタントやITエンジニアに対して案件紹介を行っています。
ファーム時代におけるIT開発のプロジェクトのPM(プロジェクトマネジメント)やPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の豊富経験を活かして、プロのPMやPMOとして、業務委託形式で仕事を受け、活躍されておられるフリーランスのITコンサルタントも多く存在し、また、企業側のニーズも高いのが現状です。
ポストコンサルがフリーランスに転身する理由の一つは、報酬の高さです。中には月額200万円を超える報酬を得られる案件もあり、社員としてのファームコンサルタントでもらっていた報酬/給与よりも大幅な収入増となります。また、自身で参画したいプロジェクトを選択することができることもフリーランスの魅力の一つです。そして、フリーランスとなると、プロジェクトが途切れてしまう「アベイラブル」時期が生じてしまうリスクがありますが、このリスクをヘッジするためにフリーランス向け案件紹介を行っているエージェントに複数登録されるフリーランスコンサルタントの方も多くおられます。
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2.外資系ファームにある「Up or Out」
外資系ファームにおいては、ある一定の年次までに昇進できなければ、退職しなければいけない、という「Up or Out」というルールを採用しているところがあります。
コンサルティングファームでは、おおよそ4段階のポジションがあり、アナリストやアソシエイト、コンサルタント、マネジャー(マネージャー)、パートナーです。アナリストやアソシエイトがコンサルタントに昇進した後、その若手コンサルタントがマネージャーとして昇進する道があります。
あるコンサルタントが、一定の期間(3年~4年)にマネージャーになれなければ、そのファームにおけるコンサルタントとしては不適合・不向きと判断されて、転職を強く促されます(国内では緩やかに適用されているようですが、米国では厳しめに適用されているようです)。
外資系ファーム出身者のポストコンサルでも、アナリストやアソシエイトなのか、1人でプロジェクトを動かせると評価を受けたマネージャーとでは、転職時に受ける評価は各段に異なります。
<参考>
「外資系コンサルの真実 マッキンゼーとボスコン」北村 慶著(東洋経済新報社)
ポストコンサルのいくつかの転職プランをご紹介しました。 転職活動において多くの選択肢をもつことができるのがポストコンサルです。同時に、私たちがご提案できる転職先の選択肢も多くあります。ファームへの転職、事業会社、スタートアップへの転職だけでなく、フリーランスとしての独立支援も行っていますので、ぜひハイパフォキャリアへご登録ください。