コンサルタントの役職・キャリア
コンサルタントのキャリアは、大きく分けて4つの段階に分かれます。アナリスト(アソシエイト、スタッフ)、コンサルタント(シニアアナリスト)、マネジャー(プロジェクトマネジャー、シニアコンサルタント)です。プロジェクトでは、総指揮者としてのパートナーが全体を、マネジャーがプロジェクト現場を指揮します。マネジャーの配下で業務と責任を任されるのはコンサルタントです。コンサルタントをアシストするのがアナリストです。
1.アナリスト(アソシエイト、リサーチャー、スタッフ)
コンサルティングファームに入社すると、新卒の場合アナリストからスタートします。コンサルタントの補佐的な業務を担い、ビジネス研修を受けたり、調査や資料の作成をしたり、プレゼンテーション、プログラミングなどの業務を行います。
アナリストが調査・作成した情報に基づき、コンサルタントが仮説立案を行い、検証を進めていきます。そのため、基礎情報の正確性、迅速さが求められます。研修があるものの基本的にはアサインされたプロジェクト内で、先輩コンサルタントから指導を受け成長していきます。コンサルタントは実力次第なため、昇格の期間には明確な基準はありませんが、おおよそ3年~4年で実力をつけたと評価されると、次のコンサルタントに昇格することができます。
2.コンサルタント(リーダー、シニアアナリスト、シニアアソシエイト)
コンサルタントは、プロジェクトにおいて実務を担当する重要なポジションです。一定の領域の業務遂行をマネジャーから指示され、推進していきます。アナリストのように、細かい指示を受けて動くというよりも、一定の裁量をもち自ら進め方を考え、目的とするアウトプットを作成したり、自ら課題の設定や仮設の構築、スケジュール、タスク管理をしながら業務を進めたり、また、クライアントの関係者を動かしていくことが求められます。
また、アナリストへ指示を行いながら調査や基礎資料のとりまとめ、分析をしてマネジャーが重要な判断を行うための情報を提供することも重要な業務の一つです。
コンサルタントは、プロジェクト等において様々な業界経験をしながら、各種マネジメント力、クライアントとの折衝能力を経て、一定の実力を身につけたと評価された場合、次のマネジャー(マネージャー)に昇格することになります。
おおよその目安の期間は3~5年ですが、実力主義のコンサルティング業界ではそれよりも短い期間で昇格できるコンサルタントもいます。また、中途採用の場合、この「コンサルタント」職からスタートする場合が多いです。
3.マネジャー(マネジャー、プロジェクトマネジャー、シニアコンサルト)
マネジャーは、プロジェクトの責任者としての役割を担います。プロジェクトにアサインされたコンサルタントやアナリストをマネジメントしながら、クライアントが依頼するアウトプットや成果を作る大きな役割を果たします。
コンサルタントやアナリストが作成するアウトプットや成果のクオリティコントロールも非常に重要な役割となります。プロジェクト推進に必要な基本的な情報や分析が間違っていた場合、上流での判断も見誤る可能性が高いため、クライアントと握った方向性で適切に進められているか、課題解決ができる動きをチームとしてできているか、のウォッチが欠かせません。
また、大きなスケジュールを管理することも重要です。遅延が発生していないか、推進する上でプロジェクトメンバーにおいて課題となっているところが何か、を把握し、必要な場合に支援することも必要となります。
同時に、プロジェクトの進行には工数・コスト管理も重要な要素です。遅延が生じると工数が増え人件費が膨らむことで、ファームがプロジェクトで得られる利益が削られることになります。そのため、当初見積もった工数で進められているかどうかを常に管理しておくことが必要になります。予定通りのスケジュールで予定通りのコスト管理をして、かつ、クライアントが求める成果を上げることが求められる重要なポジションと言えます。
4.パートナー(ディレクター、ヴァイスプレジデント)
パートナーは、コンサルタントとしての最高職位で、コンサルタントは最終的にはこのポジションを目指すことになります。パートナーは、コンサルティングファームの経営責任をも追うため、大きな責任をもちますが、反面、ファームの利益配分を得ることができ、業績を上げられればそれだけ大きな見返りとしての報酬を得ることができます。パートナーになると数億円の報酬を得ることもあり、1億円以上の報酬を得るパートナーは珍しくありません。
中には30代でパートナーとなるコンサルタントもおり、上場企業の役員クラスと比べると大きな報酬を得る夢のあるポジションです。
また、パートナーはファームの営業担当者でもあり、ファームの顔でもあります。重要な大型クライアントから受注を得るための活動も行います。これまでに培った人脈と業界情報などを駆使して、企業の社長、役員クラス、政府や公的機関の要職の人物に会い、関係性を繋ぎながらチャンスをうかがい、必要なときにいつでも提案や解決策を提示できるようにします。
個々の企業の課題よりも大きなマーケットの動きや、政治的な動静、国際的な潮流などにも常に高いアンテナを張り、経営者に今後の未来予想図を描くことが重要となります。また、これらのみならず、様々なクライアントから信頼されるパートナーの「人間力」がファームの重要なカギを握ることになります。